「コーチングってなんですか?」とよく聞かれる。
最近こそ「コーチング」という言葉が巷でよく見かけるし、「コーチです」とご挨拶される方もかなりいる。ところが、私の周りだけかもしれないが、言葉の意味は分かっても実際どんなことをするか知らない方が沢山いるようだ。
世代によるのかもしれないが、斯く云う私も以前は、コーチといえばスポーツの世界で監督補佐や指揮官自身、あるいは技術的指導者とかアドバイザーなどをイメージしていた。コンサルタントやカウンセラー、アドバイザー、トレーナーなどと何が違うのかよくわかっていなかった。
「コーチング」の定義は、「クライアントの目標達成に必要な知識、スキル、ツール、サポートなど何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイドで備えさせるプロセス」と謳われている。しかし、これでは「?」と頭を傾げる人もいるではないだろうか?
まず、コンサルタントの行う「コンサルティング」の主眼はクライアントの抱える問題の解決を図ること。「目の前にある障害を解消すること」が目的で、主に「モノやコト」を対象とする。
それに対し、コーチングはクライアントの「長期的目標達成」を支援(サポート)するもので、主にクライアント自身の「ヒト」を扱う。
カウンセラーの行う「カウンセリング」は、クライアント自身の「ヒト」とくに「心」を扱い、クライアントの抱える障害を過去に遡って原因を究明し、その対策をアドバイスするもの。
セラピストというお仕事もある。これはあくまで将来に向けて「治療」することが役割なので、施術者(やってあげる人)と被施術者(やってもらう人)という関係で進めることになる。それに対し、コーチングはあくまでクライアントの目標や成功のために「コミュニケーションを通じて自発的行動を促進すること」が主眼である。
治す訳でもなく、アドバイスする訳でもなく、先生と生徒、先生と患者という関係ではなく、成功に向けて一緒に寄り添うパートナーという役割を担うもの。
トレーナーもクライアントに寄り添い、パートナーとしての関係ではあるが、あくまでクライアントの持っている力を最大限に発揮できるようなトレーニングのサポートであるに対し、コーチはクライアントの目標達成をサポートするものですから扱うものが違う。