4回の経営経験で学んだこと

振り返ると2回の社長を経験したが、経営経験という意味では実は4回になる。

最初は金融業界を去ってコンピューター関連のベンチャー企業に入った。33歳の頃である。
上場を目指す有力な会社と思っていたが、入ってみたら火の車。
社長はほぼ降参し、代わりに会社の指揮を執った。
寝ずの日々が続き、考えられる限りありとあらゆる手を尽くしてみたがもはや万事休す。
運や気合と根性ではうまくいかないもの。そんな甘いものではないと辛酸をなめた。屈辱の時期。

そのあとコンサルティング会社を立ち上げた。
初期資本がかからない(リスクが怖い)という理由だった。
最初の半年は全く仕事が取れず悶々の日々。
紹介者のお陰で徐々に顧客を獲得し何とか活計が立つようになる。しかし結局発展することはなかった。
なんでも自分でしようとしたからだ。
営業してビジネスを獲得してプロジェクトに入る。その間営業はストップ。仕事が終わり再び営業開始。
これでは効率がよい訳はない。
それでも営業も面白いしプロジェクトも面白かったから変えようとしなかった。
夢は大きかったが一人でできることは知れている。
リソースの重要性、組織力の可能性を思い知った。無力感の時期。

40歳になって企業再建の仕事に就いた。
そこでは社長の補佐役を任じられた。そしたら目の前に自分でなんでもやろうとする社長がいた。
極めて知識の高い人だったが人の使い方が下手だった。自分以外社員を信用しない人だった。
結局彼は去り代わりに自分が社長となる。
彼を反面教師にしてすべて逆のことをやってみたら上手くいった。
会社は生き残り社員の雇用は守られた。
10年間ありとあらゆることを学ばされた。会社とは、社員とは、周りの関係者(ステークホルダー)とは。
難しいこと、辛いこと、失敗も数限りなく経験した。
お陰で経営とは何か、経営者はどうあるべきか、何をすればうまくいき何をすれば拙いか、ようやく少しだけ掴んだ気がした。
ただ、社員を学習し成長させて生産性を高めるということは宿題として残った。大きな命題を感じた時期。

50歳になって全く知らない業界の会社再建を任された。
それでもほとんどは40代で学んだものを使ってみたら上手くいった。
そして前回宿題だったことに挑んだ。
知識、経験、スキル、リソース、サポートなどありとあらゆるものを注ぎ込んだ。
やっと手ごたえみたいなものが感じる瞬間があった。
でも社長である間良い結果は出たものの果たしてやってきたことが正解だったのか?
ひどい状態を普通の会社にしただけで成功する会社になったのか?
自分が去っても成長し発展する会社になったのだろうか?
すこし消化不良である。

関連記事

  1. AIと生きる

  2. 座右の銘

  3. 経営者の資質その2

  4. コンフリクトから生まれるモノ

  5. リーダーとしての「経営論」

  6. 感情の仕組み‐2