感情の仕組み‐2

感情がどうして湧き出てくるのか?その仕組みについて話してみたい。

感情を感じることができるのは、体に何かしらの感覚の変化を感じるからで、 体の感覚の変化がなければ感情を感じることはない。この体に生じた感覚のことを「内受容感覚」と言う。

まず、環境の中にある「刺激」が引き金となって身体の反応を引き起こす。つまり其々の人による過去のトラウマ的な記憶(身体的記憶)を呼び覚ます。その中で脳は常に、何かに反応したり、何かの要求に応答し、こういうことが起こるだろうと「予測」し、危険信号を出して、その時に起こった内受容感覚を再現する。そしてその内受容感覚を感じた時に私たちは感情があると気がつくという。この時に感じている身体感覚は何十年も前に作られた時の身体感覚と同じで、その時に感じた感情と同じものを感じているのだそうだ。

つまり、腹が立って頭に血が上るというが、血が上るから腹が立つということに気づく。その血が上らせるのが脳にある身体的記憶から出た信号ということ。

なぜ人によって感情がでたりでなかったりするのか?

それは人によって記憶が違うため、刺激となったりならなかったりするから。

例えば、レモンを考えてみよう。

始めてレモンをかじったときは、どんな味をするかわからない。ところがかじってみると「酸っぱい」という刺激的体験をする。そこで脳はレモン=酸っぱいという身体的記憶を刻む。そして次にレモンを見るだけで、その記憶から信号を送る。するとまず口の中で酸を中和させるための唾液がでる。そして「酸っぱい(不快)」という感情に気づくということ。

人によっては最初のレモンが刺激的でなかったらそんな感情はでない。

そういった感情を意識的に抑えようとしたらどうなるか?

脳は常にこの身体的記憶を予測し更新しているので、もし意識的に感情を抑えようとしたらまずます脳がその予想が正しかったと認識し更新してしまう。だからまた同じ刺激を受けると感情が出てきてしまう。

ということで、そんな感情の仕組みを理解すればどうすればよいかが分かる。

感情を気づかせる感覚を起こさないようにすること。そのために刺激によって脳が発信する危険信号を出させないようにすること。それには「感情が起きた時に何もしないでじっと体に感じる感覚が収まるのを待つ」。そうするとその感覚が勝手に落ち着きを取り戻す。すると脳はその刺激に対する予測と落ち着く感覚の記憶を上書きし、「なんでもない!」と更新する。一旦記憶が更新されると同じ刺激に対して反応しなくなり、感覚もでないので感情も湧いてこない。

これが「感情解決メソッド」の仕組み。

ただ、いままで「不快」な感情になんとか対処してきているから「何にもしないで収まるのを待つこと」は実は難しい。

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