かつて社長室にもあらゆる会議室にもホワイトボードを置いた。思いついたら文字でも図でも絵でもそこに書くようにした。また、社員と喫茶店でくつろいでいる時、ふと思いついたらお店の人にペンを借りてペーパーナプキンに書き記す。これが結構いいヒントになった。
ある問題がある。その解決策を練るのに何時間も何日も、ときには何か月もかけて「うんうん」唸りながら絞り出そうとするが、思うようにいかない。もちろん調査し、材料を仕入れ、内部や外部とも会議を重ね、情報を収集する。さらに洞察力を活かして本質的な問題を探ったり、代替案など選択肢を広げ、それぞれにシミュレーションを試して結果と効果や影響を予想する。科学的(ロジカル)アプローチには違いないが、何かしっくりこない。
そのうちに新たな問題が現れる。そっちに意識や思考が移るといつの間にか前の問題が置いてきぼりになり、忘却しないまでも優先順位がぐっと下がる。すると不思議なことに、ある瞬間「アハ!」
視点を変えたり、捉え方を変えると、今まで見えなかったものが現れる。時間軸、人軸、場所軸、状況・条件軸など軸を変えてみたり、事態を俯瞰して観察したり、ゼロベースで思考してみたりといろいろ工夫はある。そんなことは百も承知。意識的にならいくらでもやってきたし、それでも解が出てこないから悩むのだ。
頭を真っさらにすることなど不可能である。固定観念ばかりでなく、過去の知識や知恵も失っては先祖戻りだろう。自分の脳みそはリセットできないなら、外に真っ白な架空脳みそを作るしかない。それが「白いキャンバス」だ。
思いつきを言葉にして書いてみる。思いつくものはすべて吐き出す。イメージを絵にして書いてみる。図でもポンチ絵でも。まずはキャンバスに落とす。するとそれを眺めて「何だろう?」と自分で書いておきながら自分のモノではないかのように受け止める。
「アハ!」