コーチというお仕事

50も後半になってなんでコーチングを始めたのか?とこれもよく聞かれる。
その理由は三つ。
一つは社員や後輩との対話から
二つめは個人的経験から

前職での話。
毎年全社員と15分から30分ほど対話することにしていた。
「今の仕事の悩みは?」「問題は?課題は?」など質問するとしっかり語ってくれる。相談や提案をいただくこともたびたび。
ただ、「将来の夢は?何を目指しているの?」という質問にはほとんどが口を閉ざすか曖昧に答える。
もちろんそんなことを社長の前で準備して堂々と話すことなど考えもしなかっただろうし、咄嗟のことで臆してもいただろう。
しかし、オフタイムの時に聞いてもそうなのだ。年配者ほどその傾向は強い。
何故話せないのか?
考えられる理由は2つ。
目の前の仕事や出来事に追われて将来のことなど考えることもないということ。余裕も暇もないということか・・・
もう一つは夢や将来のことなどを真剣に人に話す機会もないし、相手もいないということだろう。
伴侶や友人には話すことはあるかもしれない。それは真剣か?やっぱり曖昧になっていないか?
夢を実現するにはそれを明確にし実現するためのステップがあるとよいらしい。
また、毎日目標を考えたり確かめたりする人は年に1回そうする人より実現に向けて行動する傾向が極めて高いし実現の可能性が高いとも。
なんのために仕事をするの?生きるため。ではなんのために生きるのか?

また、社長になって取り組んだことはいろいろあるけども集約すれば会社や組織の生産性を上げることだった。
「無駄な汗を掻かず、楽して儲ける」状態。それは私の組織マネジメントの目的。
とはいえ限られたリソース(人、金、時間)でどうやったら最大のパフォーマンスを得られるか?戦略や体制、指揮伝達をうまく采配しても結果がでない。マイクロマネジメントのように細部にまで目を配って一つ一つ手を下していたら効率は上がらない。
個の力を活かさないとどうにもならない。
でも、指示待ちで言われたことしかしない、周りに関心がなく個人の成果になることしかしない。
自分の頭で考えて、自信をもって勇気をだし、周りとかかわりながらチャレンジするというマインドセットと行動について悩む日々だった。
それは指示してもアドバイスしてもうまくいかないし、知識やスキルアップのための研修などの学習をもってしてもうまくいかない。人から聞いても本で学んだとしても簡単には意識が変わらない。根深い価値観(捉え方)や感情なども揺れ動かして新たな軸を自ら持たないと人は変わらない。そのメソッドの一つとしてコーチングに行き着いた。

個人的経験というのは過去2回の社長経験のこと。
有難いことにファンドがバイアウトした老舗企業のTOPに就いた訳だが、その仕事は孤独そのもの。
その前から社長業とは孤独であると聞いていたがまさにそうだった。
社員にも相談できない、上司もいないから外部の先輩に聞こうとしても相手は事情が分からない。
一人で悩み一人で考えなければならない。
それは仕方ないことだと覚悟していたが、やっぱりそばに話を聞いてくれる人がいたらどんなに助かったか・・・
あーでもないこーでもないと四六時中考えていていつもモヤモヤしている。
回答を聞きたいのではない。ただ、話を聞いてもらって頷いてくれるだけでもいい。
話をすることで頭が整理できたり納得したり気が付いたり。
コーチという存在は知っていたが、アプローチしようという発想はなかった。
もっと若い時に出会っていたら自分の可能性を広げて自信や生きがいを常に感じながら前を向いて歩んでいただろうと悔やまれる。

多くの人が企業経営に携わり、社会環境の変化の中で仲間の生活を守り、成長することを一念に苦労し磨き自己実現を目指す。そんな人達を応援すること。これが私のテーマ。コーチングをやればすべて叶うとは思わないが、少なくとも一人でも多くの経営者や経営者を目指す人がその意義に賛同いただければありがたい。

関連記事

  1. AIと生きる

  2. 笑顔の意味

  3. 経営者の資質その2

  4. 一つの会社に長く勤める意義

  5. コーチングのやり方

  6. メンターとコーチ